清い者は清く、濁れる者は濁ったままで暮して行くより他はない。
太宰治畜犬談」(1939)
草花の一枝を枕元に置いて、それを正直に写生していると、造化の秘密が段々分って来るような気がする。
正岡子規病床六尺」(1902)
暗黒街の女王のこの人気は、一体どこから湧いて出たのか。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと
石川啄木一握の砂」(1910)
僕は甘んじて女王さまの奴隷になります。どんないやしい仕事でもします。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
時はわたしが釣りに行く小流れにすぎない
ソロー森の生活」(1854)
結局のところ人間の享楽の器は、実に狭いものではないか。実に早く涙であふれるではないか。
岡倉天心茶の本」(1906)
真上からたたきのめされて、下の漁夫の首が胸の中に、杭(くい)のように入り込んでしまった。
小林多喜二蟹工船」(1929)
西洋でもない、日本でもない、珍らしいところでした。
小泉節子思い出の記」(1908)
熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より頭の中の方が広いでしょう
夏目漱石三四郎」(1908)
借金を返しちまったら。あなた、おかみさんにしてくれない。
永井荷風濹東綺譚」(1937)
垢抜して(諦)、張のある(意気地)、色っぽさ(媚態)
九鬼周造「いき」の構造」(1930)