帝の寵愛を一身に受けた桐壺の更衣は、身分が高くないゆえに他の女御や更衣たちから激しい嫉妬と恨みを買う。しかし帝の愛は深く、やがて美しい皇子が誕生する。この皇子の美貌と聡明さは類がなく、帝は第一皇子よりも愛情を注ぐようになり、やがては皇太子にとの噂も立つ。
更衣は病弱で、宮中での孤立した立場に苦しみながらも、ただ帝の愛だけを頼りに生きていた。皇子が三歳になった夏、更衣は重い病に倒れる。帝は別れを惜しんで引き留めるが、ついに実家での療養を許可せざるを得ない。しかし更衣は帰宅後まもなく息を引き取る。
帝の悲しみは深く、引きこもって政務も手につかない状態が続く。更衣には死後三位の位が贈られ、これは女御に相当する破格の待遇だった。皇子は母の実家で暮らすことになるが、帝は恋しさのあまり使者を遣わして様子を尋ね続ける。月夜に更衣との思い出を偲ぶ帝の姿は、永遠の愛と失意を象徴している。