昨日の正しさが今日の誤りになる、そういう瞬間瞬間の感覚を、ペンで写して誰に見せるのか。
森鷗外舞姫」(1890)
始終私の心を押さえつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか緩んで来た
梶井基次郎檸檬」(1925)
彼女は大胆不敵なエキジビショニストであったのだ。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
一度でも我に頭を下げさせし人みな死ねといのりてしこと
石川啄木一握の砂」(1910)
生きた哲学は現実を理解し得るものでなくてはならぬ。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
私は「大きくなったら……」と深い決心をしていた。「もっと大きくなったら……」
室生犀星幼年時代」(1919)
武蔵野の美といった、美というよりむしろ詩趣といいたい、そのほうが適切と思われる。
国木田独歩武蔵野」(1898)
はんの木は本当に砕けた鉄の鏡のように輝き
宮沢賢治やまなし」(1923)
富を得ていながら、欠けた事を思うほど、苦しい事は世間にない。
ゲーテファウスト」(1808)
もし、僕が、本当に狐になっちゃったらどうする?
新美南吉」(1943)
非人情でなくっちゃ、こうは動けませんよ
夏目漱石草枕」(1906)
「いき」は「浮かみもやらぬ、流れのうき身」という「苦界」にその起原をもっている。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
私は愛することはなかなかできないけれど私は愛せねばならない。
倉田百三愛と認識との出発」(1921)