始終私の心を押さえつけていた不吉な塊がそれを握った瞬間からいくらか緩んで来た
梶井基次郎檸檬」(1925)
暗黒街の女王のこの人気は、一体どこから湧いて出たのか。
江戸川乱歩黒蜥蜴」(1934)
どんな意気地なしのやつでものどから血が出るまでは叫ぶんですよ。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
人生とはこんなに寂しいものだったのだと源氏は思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(12 須磨)」(1914)
生きているということ。ああ、それは、何というやりきれない息も絶え絶えの大事業だろうか。
太宰治斜陽」(1947)
足あり、仁王の足の如し。足あり、他人の足の如し。
正岡子規病床六尺」(1902)
恋しい藤壺の宮によく似ているからだと気がついた瞬間にも、思慕の涙が熱く頬を伝わった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
逆上は普通の人間を、普通の人間の程度以上につり上げて、常識のある者に、非常識を与える者である。
夏目漱石吾輩は猫である」(1905)
窮屈な境遇の源氏はこうした山歩きの経験がなくて、何もかもみな珍しく面白く思われた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
生きよ堕ちよ、その正当な手順の外に、真に人間を救い得る便利な近道があり得るだろうか。
坂口安吾堕落論」(1947)
人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
こんな人であるから長い年月の間忘れることもなく恋しいのであると思っていた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(09 葵)」(1914)
自分が消えてしまわなければならないのだという彼の考えは、おそらく妹の意見よりももっと決定的なものだった。
フランツ・カフカ変身」(0)
俺は総領で家督をしているが、どうかして難しい家の養子になってみたい。
福沢諭吉福翁自伝」(1899)
一人の放蕩は大勢の手本となり、やがて世間の風俗を乱して人々の教えに妨げをなす
福沢諭吉学問のすすめ」(1872)
のたれ死するには家うちは要らんからのう……
菊池寛父帰る」(1917)