アノ人はこの世の中に活きているあいだは真面目なる生涯を送った人であるといわれるだけのことを後世の人に遺したいと思います。
内村鑑三後世への最大遺物」(1897)
謙虚,誠実,覚悟華やかな名声よりも誠実な生き方を選ぼうとするとき
人間は、二つの魂の誕生をもっているといえよう。世界がこんなに美しく、世の中がこんなに面白いものかと驚嘆する時がある。これが第一の誕生である。そしていつか、それとまったく反対に、人間がこんなに愚劣であったのか、また自分も、こんなに下らないものだったのかと驚嘆し、驚きはてる時がある。これが第二の、魂の誕生なのである。
中井正一美学入門」(1941)
魂の成長人生の残酷さや矛盾に直面したとき
人間の能力は決して計算ずみではない。
ソロー森の生活」(1854)
希望,驚き自分の可能性を諦めそうになったとき
蝶子は柳吉に惚れていた。 惚れた相手なら仕方がないと 思うのが女の悲しさであった。
織田作之助夫婦善哉」(1940)
切なさ好きな人にどうしても甘くなってしまうとき
すべての学は真理に対する愛に発し、真理に基く勇気を喚び起すものでなければならない。
三木清哲学入門」(1940)
情熱,勇気学問の意味を問い直すとき
クラムボンは死んだよ。
宮沢賢治やまなし」(1923)
恐怖、悲しみ無邪気な世界に突然死が侵入してくるとき
完全は至るところにある。
岡倉天心茶の本」(1906)
安らぎ,悟り日常の中に美を見出すとき
アア、とうとう耐え切れなくなったと見えて、自首しましたよ。妙な偶然ですね。丁度その事を話していた時に、こんな報導に接しるとは
江戸川乱歩D坂の殺人事件」(1925)
やるせなさ, 人間への深い洞察誰かの苦悩や罪悪感の重さについて考えたいとき
新時代の青年をもってみずからおる三四郎は少し小さくなっていた。
夏目漱石三四郎」(1908)
自意識, 挫折, 劣等感理想と現実のギャップに直面したとき
女の顔にはいつも何一つ表情というものがなく、それは怖ろしいほど美しく、恐ろしい顔でした。
坂口安吾桜の森の満開の下」(1947)
恐怖、魅了美しいものに恐怖を感じるとき
高瀬舟は京都の高瀬川を上下する小舟である。
森鷗外高瀬舟」(1916)
静けさ何かが始まる予感がするとき
もう隠すまい。 隠すことに疲れた。 自分は自分であるより 他にないのだ。
島崎藤村破戒」(1906)
覚悟もう嘘をつけないと決めたとき
ゴーシュはかっこうがこんやあたり来るかなと思いながら また一生けん命セロを弾きました。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
決意一人で黙々と練習しているとき
真理はあらゆる人によって承認さるべき要求を含んでいる。
三木清哲学入門」(1940)
厳粛正しさについて考えたいとき
もう田舎へは行かない、東京で清とうちを持つんだ
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
希望長く離れていた人との再会で、人生を変える決意をしたとき
病気だ。病気なんだよ。以前はあれほどでもなかったんだが、だんだん悪くなりやがった
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
無力感、絶望自分や周囲の人間の劣化を認めるしかないとき
観念らしい観念は死の立場から生れる、現実或いは生に対立して思想といわれるような思想はその立場から出てくるのである
三木清人生論ノート」(1941)
畏敬死について考えずにはいられないとき
譲治さん、あたしもう止めるわ
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
決意期待が裏切られたとき
小人が過ちを犯すと、必ずそれをかざるものである。
下村湖人現代訳論語」(1949)
痛み,自省自分の失敗を隠そうとするとき
糞(ふん)はどこぞに着いておらぬかと眺(なが)めて見たが、それは箱のなかに取り残されていた
夏目漱石草枕」(1906)
諦観, 黒い笑い日常の非情さに直面したとき