俺達には、俺達しか、味方が無(ね)えんだな。始めて分った
小林多喜二蟹工船」(1929)
絶望、覚醒、決意権力の裏切りを目の当たりにしたとき
私が死のうと決心してから、もう十日以上になりますが、その大部分はあなたにこの長い自叙伝の一節を書き残すために使用されたものと思って下さい。
夏目漱石こころ」(1914)
決意人生の最後に何かを遺したいと思ったとき
いっさいの事は人間の掌中にあるんだが、ただただ臆病のために万事鼻っ先を素通りさせてしまうんだ
ドストエフスキー罪と罰」(0)
決意と自己嫌悪自分の弱さに気づき、行動することの大切さを痛感したとき
ごんは、お念仏がすむまで、井戸のそばにしゃがんでいました。兵十の母の葬列を見送りながら、ごんは思いました。
新美南吉ごんぎつね」(1932)
悲しみ、反省取り返しのつかないことをしてしまったとき
南無妙法蓮華経
宮沢賢治雨ニモマケズ」(0)
決意人生の指針を求めているとき
私はこんな風(ふう)にして生きて来たのです。始めてあなたに鎌倉(かまくら)で会った時も、あなたといっしょに郊外を散歩した時も、私の気分に大した変りはなかったのです。私の後ろにはいつでも黒い影が括(く)ッ付(つ)いていました。
夏目漱石こころ」(1914)
孤独, 絶望自分の人生が変わらない苦しみを感じたとき、誰かとの関係が表面的に見えるとき
願わくはこれを語りて平地人を戦慄せしめよ。
柳田国男遠野物語」(1910)
切望, 使命感忘れられた物語を世に知らしめたいとき
人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
諦観, 決意世間の評価に縛られそうになったとき
婀娜っぽい、かろらかな微笑の裏に、真摯な熱い涙のほのかな痕跡を見詰めたときに、はじめて「いき」の真相を把握し得たのである。
九鬼周造「いき」の構造」(1930)
切なさ人の奥深さに触れたとき
冬が来ていた。あの鋭い冬が――
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
喪失避けられない別れを予感したとき
もう人間は愛想がつきました。どうか私を弟子にして下さい。
芥川龍之介杜子春」(1920)
絶望、決意人間関係に疲れ果てて、全てを捨てたくなるとき
糞(ふん)はどこぞに着いておらぬかと眺(なが)めて見たが、それは箱のなかに取り残されていた
夏目漱石草枕」(1906)
諦観, 黒い笑い日常の非情さに直面したとき
ハハハ……、二十面相は童話の中の魔法使いです。だれにでもできないことを、実行してみせるのです。
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
驚き自分の正体が露わになったとき
どうせ碌な所ではあるまい。どんな町で、どんな人が住んでるか分らん。分らんでも困らない。心配にはならぬ。ただ行くばかりである。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
決意人生の大きな決断を前にしたとき
毎月曜日と金曜日の午後、夫人の胸に抱かれて踊ること。そのほんの一時間が、いつの間にか私の何よりの楽しみとなっていたのです。
谷崎潤一郎痴人の愛」(1924)
喜び人生で初めて西洋人女性と親密に接する時間を得たとき
この夕日の中に佇んでいる、お前の姿が眼に止ったから、何か力になってやりたいと思ったのだ。
芥川龍之介杜子春」(1920)
優しさ、希望誰かが自分を見てくれていたと気づくとき
しかし、ヘルンは辺鄙なところ程好きであったのです。東京よりも松江がよかったのです。日光よりも隠岐がよかったのです。
小泉節子思い出の記」(1908)
決意、こだわり世間的な価値観に逆らいたいとき、自分の本当の気持ちを貫きたいとき
親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。
夏目漱石坊っちゃん」(1906)
自嘲, 諦観自分の人生を冷徹に見つめたいとき
檸檬の冷たさは たとえようもなくよかった。
梶井基次郎檸檬」(1925)
安堵ふとした瞬間に救われたとき
「お母さん。」と一声叫んだと思うと、杜子春の体はもう何時の間にか、元の洛陽の西の門の下に、夕日を浴びて、ぼんやり佇んでいたのです。
芥川龍之介杜子春」(1920)
愛、解放理屈を超えた感情が溢れ出す瞬間