これは、こっちの方が人気があるわい。
横光利一」(1923)
立派な身なりの、五十年配の奥さんが、椿屋の勝手口にお酒を売りに来て、一升三百円、とはっきり言いまして。
太宰治ヴィヨンの妻」(1947)
せねば、餓死をするのじゃて、仕方がなくした事であろ。
芥川龍之介羅生門」(1915)
こうして私が数時間前から座っているのに、どうもまだこの部屋は空虚のようだ。
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
恋しい藤壺の宮によく似ているからだと気がついた瞬間にも、思慕の涙が熱く頬を伝わった。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(05 若紫)」(1914)
楽しいことは、常に容易ならないものを、その背中に担っているはずである。
中井正一美学入門」(1941)
清い者は清く、濁れる者は濁ったままで暮して行くより他はない。
太宰治畜犬談」(1939)
もし速度が光速度に達するならば、物体は一平面に押しつぶされてしまいます。
アインシュタイン相対性理論」(1916)
彼女は真昼の寂しさ以外、何も意識していない。
岡本かの子老妓抄」(1938)