蠅は最も高い馬の耳の上に止まって、眼の下に落ちてゆく世界をじっと見おろしていた。
横光利一
背景解説
人間が必死にもがく最期の瞬間を、一匹の蠅が無感情に見下ろしている。命をかけた大事件が、蠅にとってはただの風景でしかない。この視点の残酷さが、人間の命のちっぽけさを突きつけてくる。
人間ドラマの結末を見届けたのは、物語の主人公ではなく一匹の虫だった。
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