一円九十銭の日当の中から、日に、五十銭の米を二升食われて、九十銭で着たり、住んだり、べらぼうめ!
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
こうした不用心な時に男も女も間違った運命へ踏み込むものだと源氏は思った。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(08 花宴)」(1914)
自分の体もまた一つの大自然であり、山あり川あり、無限の喜びと悲しみを持っている大きな天地ではないだろうか。
中井正一美学入門」(1941)
富を得ていながら、欠けた事を思うほど、苦しい事は世間にない。
ゲーテファウスト」(1808)
福を惜しむ人が必ずしも福に遭うとは限るまいが、何様も惜福の工夫と福との間には関係の除き去るべからざるものがある。
幸田露伴努力論」(1912)
子供がどこにいても、しあわせに暮らしてくれたなら、私の喜びは、それに勝ったことはない。
小川未明赤い蝋燭と人魚」(1921)
私たち、これから本当に生きられるだけ生きましょうね……
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
なぜならばそのすべては自明のことのように聞こえるからです。
アインシュタイン相対性理論」(1916)
美は常に、無限に変わりつつあるといえる。
中井正一美学入門」(1941)
いつでも君だけ解けた靴のひもを引きずってみんなのあとをついて歩くようなんだ。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
真に自己に内在的なものは超越的なものによって媒介されたものでなければならない。
三木清哲学入門」(1940)
すべての人間が神の前においては平等であることを知らない者の人間の世界において平均化を求める傾向である。
三木清人生論ノート」(1941)
生きよ堕ちよ、その正当な手順の外に、真に人間を救い得る便利な近道があり得るだろうか。
坂口安吾堕落論」(1947)
われらに罪を犯すものをわが赦すごとくわれらをも赦したまえ
倉田百三愛と認識との出発」(1921)