若やかにうぐひすぞ啼く初春の衣くばられし一人のやうに    (晶子)新春第一日の空の完全にうららかな光のもとには、……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(23 初音)」(1914)
私の頭の中には言いようのない疲労と倦怠が、まるで雪曇りの空のようなどんよりした影を落としていた。
芥川龍之介蜜柑」(1919)
僕はある知り人の結婚披露(ひろう)式につらなる為に鞄を一つ下げたまま、……
芥川龍之介歯車」(1927)
Le vent se lève, il faut tenter de vivre.PAUL VALÉRY序曲それら……
堀辰雄風立ちぬ」(1938)
あじきなき松の風かな泣けばなき小琴をとればおなじ音を弾く  (晶子)東の院が美しく落成したので、……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(18 松風)」(1914)
そのころ、東京中の町という町、家という家では、……
江戸川乱歩怪人二十面相」(1936)
人は努めている間は、迷うに決まったものだからな。
ゲーテファウスト」(1808)
松江へ来て、まず自分の心をひいたものは、この市を縦横に貫いている川の水とその川の上に架けられた多くの木造の橋とであった。
芥川龍之介魔術」(1920)
露置きてくれなゐいとど深けれどおもひ悩めるなでしこの花   (晶子)炎暑の日に源氏は東の釣殿へ出て涼んでいた。
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(26 常夏)」(1914)
賢一郎 おたあさん、おたねはどこへ行ったの。
菊池寛父帰る」(1917)
松戸与三はセメント開けをやっていた。
葉山嘉樹セメント樽の中の手紙」(1926)
人魚は、南の方の海にばかり住んでいるのではありません。
小川未明赤い蝋燭と人魚」(1921)
序哲学に入る門は至る所にある。
三木清哲学入門」(1940)
得体の知れない不吉な塊が私の心をいつも押さえつけていた。
梶井基次郎檸檬」(1925)
蠅(はえ)を叩きつぶしたところで、蠅の「物そのもの」は死にはしない。
萩原朔太郎猫町」(1935)
朝、目を覚ますときの気持ちは、面白い。
太宰治女生徒」(1939)
ゴーシュは町の活動写真館でセロを弾く係りでした。
宮沢賢治セロ弾きのゴーシュ」(1934)
夜の帳(ちょう)にささめき尽きし星の今を  下界(げかい)の人の鬢のほつれよ歌にきけな誰れ野の花に紅き否(いな)む  お
与謝野晶子みだれ髪」(1901)
五十鈴川神のさかひへのがれきぬおもひあがりしひとの身のはて (晶子)斎宮(さいぐう=伊勢神宮に仕える皇女)の伊勢へ……
紫式部(与謝野晶子訳)源氏物語(10 榊)」(1914)