人間は誰でも猛獣使いであり、その猛獣に当たるのが、各人の性情だという。
中島敦山月記」(1942)
隴西(ろうさい)の李徴(りちょう)は学問に優れ、……
中島敦山月記」(1942)
笑ってくれ。詩人になりそこなって虎になった哀れな男を。
中島敦山月記」(1942)
二年の後には、激しく往復する踏み木が睫毛(まつげ)をかすめても、絶えて瞬くことがなくなった。
中島敦名人伝」(1942)
趙の邯鄲(かんたん)の都に住む紀昌(きしょう)という男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立てた。
中島敦名人伝」(1942)
人生は何事もしないには余りに長いが、何事かをするには余りに短い。
中島敦山月記」(1942)
人は高塔であった。馬は山であった。豚は丘のごとく、鶏は城楼と見える。
中島敦名人伝」(1942)
全く、どんな事でも起こり得るのだと思って、深く恐れた。
中島敦山月記」(1942)
見よ、鳶は羽ばたきもせず中空から石のように落ちて来るではないか。
中島敦名人伝」(1942)