才気あふれる秀才李徴は、科挙に合格後も官職を軽んじ、詩人として名を残そうと志すが、文名は上がらず生活は困窮する。やむなく地方官として再出仕するも、かつて見下していた同僚の下で働く屈辱に耐えかね、ついに発狂して行方不明となる。一年後、友人の袁参が旅路で人食い虎に遭遇するが、その虎は草むらから人語で語りかけてくる。それは虎に変身してしまった李徴だった。李徴は自らの運命を嘆きながらも、日々人間の心を失いつつあることへの恐怖を吐露する。臆病な自尊心が内なる猛獣であり、それが外見をも変えたのだと自己分析する。