けれども、苦悩だけは、 その青年たちに、先生、と 言はれて、だまつてそれを 受けていいくらゐの、 苦悩は、経て来た。
太宰治富嶽百景
背景解説
学問も才能もない、と自分を卑下する太宰が、それでも「苦悩だけは」経験してきたと言い切る場面。これが太宰の唯一のプライド。キラキラした成功体験じゃなくて、苦しんだ経験こそが自分の価値だという宣言。弱さを強さに変える言葉。
自慢できるのが「苦しんだこと」だけ、という誇り。
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