我母は余を活きたる辞書となさんとし、我官長は余を活きたる法律となさんとやしけん。辞書たらむは猶ほ堪ふべけれど、法律たらんは忍ぶべからず。
森鷗外舞姫
背景解説
親は俺を「知識の詰め込み機械」にしたいし、上司は俺を「ルール通りに動くロボット」にしたいってわけ。知識を詰め込まれるのはまだ我慢できるけど、自分の考えまで奪われて法律になれって言われるのは、さすがにキツい。つまり、大人社会の期待という『枠』にはめられることへの、本気の反発なんです。
じゃあこの主人公、この『枠』から逃げるために何をしたのか?
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舞姫』の他のひとふみ
舟に残れるは余一人のみなれば。
森鷗外
きのふの是はけふの非なるわが瞬間の感触を、筆に写して誰にか見せむ。
森鷗外
嗚呼、いかにしてか此恨を銷せむ。
森鷗外
嗚呼、彼も一時。舟の横浜を離るるまでは、天晴豪傑と思ひし身も、せきあへぬ涙に手巾を濡らしつるを我れ乍ら怪しと思ひしが、これぞなか/\に我本性なりける。
森鷗外
我を救ひ玉へ、君。わが恥なき人とならんを。
森鷗外
君は善き人なりと見ゆ。彼の如く酷くはあらじ。又我母の如く。
森鷗外
学識あり、才能あるものが、いつまでか一少女の情にかゝづらひて、目的なき生活(なりはひ)をなすべき。
森鷗外
縦令(よしや)富貴になり玉ふ日はありとも、われをば見棄て玉はじ。
森鷗外
嗚呼、余は此書を見て始めて我地位を明視し得たり。恥かしきはわが鈍(にぶ)き心なり。
森鷗外
足の糸は解くに由なし。曩(さき)にこれを繰(あや)つりしは、我(わが)某(なにがし)省の官長にて、今はこの糸、あなあはれ、天方伯の手中に在り。
森鷗外
嗚呼、何等の特操なき心ぞ、「承(うけたま)はり侍(はべ)り」と応(こた)へたるは。
森鷗外
我脳中には唯我は免(ゆる)すべからぬ罪人なりと思ふ心のみ満ち/\たりき。
森鷗外
我豊太郎ぬし、かくまでに我をば欺き玉ひしか
森鷗外
我脳裡に一点の彼を憎むこゝろ今日までも残れりけり
森鷗外
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